前のページ      表紙

第7章 あとがき

 惑星の運動はニュートン力学よって記述される長距離力で記述されます 。ところが惑星は分子間結合や化学結合といった近距離力で構成されています。宇宙塵が付着するのは万有引力の力ではなく、クーロン力です。 太陽系は宇宙塵が接触して塊になることから始まったとすると、宇宙塵が結合する物質の科学が必要です。
 小惑星探査機「HAYABUSA」が探査した「竜宮」は隙間の多い構造であり、脱出速度は30cm/sでした。この小惑星は別の小さな隕石が衝突するとバラバラになってしまいます。 最初の小惑星は静かに接触し、原子間距離で接する点領域においてファンデルワールスの力などの分子間結合することにより、塊状になったと考えられます。
  固体の隕石は巨大になった天体の中心部で高圧高温の液体状態で生成され、核融合爆発でバラバラにされて放出されたものと考えます。  20世紀後半から惑星探査が行われた結果、惑星に関する多くの写真や物理データが得られた。この物性論に基づいた比較惑星学をまとめるのにそれらのデータが貢献しました。 著者は、このウェブサイトが惑星の進歩に貢献することを期待しています。

[CG 提供 Pixta]         

Website 制作  唐澤信司

[参考文献]
[1] マーティン・リース編、「宇宙大図艦」ネコ・パブリッシング, 2014. [Original: Martin Rees ed., “Universe -A long tour of the universe-”, Dorling Kindersley Led. 2012].
[2] 国立天文台編、「理科年表」丸善出版.平成30年第91冊、2017.
[3] David C. Black et. al. ed., “Protostars & PlanetsⅡ” The Univ. of Arizona Pres.1985.
[4] C. Hayashi, et.al, “Formation of the solar system”, “Protostars & PlanetsⅡ” The Univ. of Arizona Pres. pp.1100-1153, 1985.
[5] Chabrier, G., Baraffe, I., Low-mass stars and substellar objects, Ann. Rev. Astron. Astrophys. 38 (2000) 337-377.
[6] 森山茂, "大気の歴史-原始大気から惑星大気へ-", 東京堂出版, 1981.

目次                       -7.1-